11 / 12

親友に感謝

「…話はわかりました。で、どうしてここに青葉先生がいらっしゃってるんですか?」 お昼休みいつものように俺達は屋上でご飯を食べている。一人増えて3人で。 「悪ぃな、小鳥遊」 少しも悪びれた様子のない青葉先生に暁のコメカミに青筋が! 「暁、ごめんな。ほらやっぱ先生と生徒が2人きりって色々ヤバいだろ。同性でも。周りの目もあるし…、それに好きな人と部屋の中で2人きりってなると、ほら、やっぱ、自制がきかないというかなんというか…俺が耐えられそうにないんだ…」 ぽっと顔を赤らませる俺の頭上に暁の容赦ないげんこつが一発。 「イタ!暁、痛い!」 「痛くしてるんだ、当たり前だろ」 ジト目で見る暁の容赦ない睨みに俺のハート壊れそうだわ。 「わーん、先生!暁がいじめる!」 ガバッと抱きつくと青葉先生は暁を見て驚いたように目を見開いていた。 「先生?どうしたの?」 「…いや、何でもない。ちょっとお前らのやり取りにデジャブを感じただけだ。気にするな」 そう言うと先生はギュッと抱きしめ、よしよしと頭を撫でる。青葉先生、好き。 その様子に暁の青筋が増えるが、はぁっと大きなため息をつくなり興味が失せたように目線を外す。 「もう、いい。勝手にやってくれ」 黙々とお弁当を食べはじめる暁に俺は性懲りもなく近付く。暁はチラリと見たが無視である。その様子に俺は苦笑い。当たり前か。 暁には色々相談にのってもらった。彼がいなかったら、俺はこうして先生と一緒にいなかったと思う。あの日、先生に告白する前俺に一つ助言してくれたお陰で冷静に対応できたんだ。 『譲、相手は教師だ…もしフラれても好きなら決して諦めるな。いいか、卒業すればお互いただの男と男だ。またその時に告白すればいい』 暁のその言葉を思い出したからこそ、俺は諦めなかったんだ。 暁の前で正座をし背筋を伸ばす。そして今までにないぐらい丁寧に親友の名を呼ぶ、感謝を込めて。 「暁、ありがとうな」 暁は少し驚いたような表情を浮かべたがすぐに、はにかんだ笑顔にかわる。 「どういたしまして」 そんな親友の珍しい笑顔をみて、『もし親友に何かあったときは俺が絶対力になる!』と心の中で決意したのだった。

ともだちにシェアしよう!