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第2章 総ての痛み⑥
◆ ◆ ◆
一人、デカイ浴槽に浸かりながら考える。
確かに、奴のやったことは愛とか恋とかそんなもん関係無かった。あいつは自分の持ち物に自覚を与えようとしただけだ。つまり、俺に自覚しろと言いたかったわけだ。俺の顔面に精液をぶっかけてな。
本当に、一体何がしたかったのか、さっぱり分からん。暫くして、俺の体調は自然と落ち着いたが、精液を顔から首にかけて勢い良くぶっかけられ、その後、放置、今は複雑な気持ちでいっぱいだ。
ラウルは俺にマーキングをしたんだろうが、別に周りには関係ねぇ。俺に「貴様は私の物だ」という自覚を持てという意味でやったわけだ。良かったのか、悪かったのか……。途中で放置されるってのは、こんな気分になるのか。
いや、考えるな!俺はあいつの物になる気はねぇ!あいつは敵だ!いつか、リューシヴに戻ったら、あいつの首を取ってやる!
────……俺は国に戻ることを望んでいる?
「ああ……くそ……、分かんねぇ……」
水面に両手を叩きつけ、俺は力無くボヤいた。
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