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「…っおい、大丈夫か?」 とっさに受け止められたからよかったものの、圭の意識は朦朧としていて触れた肌が異常に熱い。これは相当ヤバいだろ。 「お前部屋どこ?」 「…ん…503」 ぐったりしている圭にわかったと返事をしてそのまま持ち上げると、焦った様子で重いから降ろして、と騒ぎ出した圭を無視してエレベーターに向かった。 部屋に着き一旦ベッドに降ろした後で部屋を見て驚いた。何もないのだ。しいて言うなら元々部屋についていたであろう冷蔵庫とベッドがあるくらい。高校生なら誰もが持っている漫画やゲーム類もない。まさかと思って冷蔵庫を覗くとやはり空だった。 ……ほんとにここで生活してんのかよ。 ふと、ベッドに眠っている圭を見ると時々咳をして寝苦しそうにしている。 親もそのうち帰って来るだろうけど、この状態で残すのも気が引ける。どうしようかと悩んでいると圭がうっすら目を開けた。 「あ、…せんせー…まだいたんだ」 「ん?ああ。もう帰るよ」 「え、…なんで?」 「なんでってもう親も来るだろうし、そもそも教師が生徒の家に長居するのよくないだろ」 そう言うと圭の顔が一瞬暗くなった気がした。 「…………そっか。あ、運んでくれてありがとうございました。ごめんね重かったでしょ」 「むしろ軽くて心配したわ。あんまり無理すんなよ」 「うん、ごめんね」 「じゃあ、俺帰るからとりあえず寝てろ。明日も学校あるし。」 「うん。おやすみなさい」 「おやすみ」 そう言って部屋を出て時計を見ると9時ちょうどだった。 夕御飯を食べてないせいか腹が減った。そういえば圭は食べたのだろうか。 生活感のない部屋と一瞬の暗い顔が頭から離れずもやもやとしながら家に帰った。

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