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Side徹 朝、圭の顔を見たときは、喧嘩でもしたのかな?ぐらいの感想だった。 まぁ、本人も階段から落ちたと言っていたからあまり気にしなかった。 というかGW明けの久しぶりの学校で朝から忙しく、気にする余裕がなかった。 会議を終えて教室に戻ってみると、誰もいないと思っていたのに人がいて驚く。 でもそれ以上にそいつの体中のアザに目がいって、動きが止まった。 「え、、圭、その傷どうしたんだ?」 一瞬しか見えなかったが背中には無数の傷とアザがあった。しかも一切治療された跡がない。 つい最近階段から落ちたにしてはおかしくないか? 「あーちょっと転んじゃって。あはは。でも全然大したことないですから。じゃあ授業遅れちゃうので失礼します」 いや、ちょっと転んじゃって、あはは。な傷の量じゃなかったよ。 とりあえず、逃げようとする圭の腕を掴みそのまま保健室につれていく。 無理矢理椅子に座らせて、服をめくった。 瞬間、目を疑った。 なんだよ。この傷の多さ。 身体中に殴られたようなアザや、刃物で切られたような切傷がある。 しかも最近のものだけじゃない。 これは絶対誰かにやられたやつだろ。 ……虐待かな。 とりあえず放置したら悪化しそうな傷を中心に消毒して丁寧に包帯を巻いていく。 あまり得意では無いけれどこのまま何もしないよりはいいだろう。 「ねぇー先生。ほんとに大丈夫だってばー。 聞いてる?そんな大げさな治療必要ないし、放って置けば治るよ。だいたいこの程度の怪我は慣れてるから、」 「……慣れてる?」 その言葉に違和感を感じて圭の顔を見ると、案の定やってしまったという顔をしてる。 必死に言い訳を探して見つからなかったのか、圭は何か言おうとして黙ってしまった。 ああ、やっぱり日常的に受けてるのか。 聞きたいことは山程あるが、今聞いたところで正直に答えてくれるだろうか。 …いや、答えてくれないだろうな。 今だってこの怪我は階段から落ちた時のだって言い張ってるし。 はぁー、どうしようか。 ……うん。ここはとりあえず様子を見よう。 まだ虐待と決まったわけでもないし、もしかすると他の理由があるかもしれない。 「はい、終わったよ。 とりあえずさ、手当てはしといたから。 お前、怪我したらきちんと処置しないと傷が残るんだぞ。せっかく肌綺麗なんだからもったいないよ」 「……うん」 ………… ………… 「……え、終わり?」 ああ、やっぱり何かしら聞かれる覚悟はしてたのか。 「そうだけど」 「なんで、明らかに怪しいじゃん。聞かないの?」 まぁ確かに、明らかに怪しいよね。 じゃあ、 「え、聞いていいの?」 そう言うと圭は途端に言葉に詰まる。 ほんとに分かりやすいなぁ。 普段明るくて穏やかな圭が動揺してる姿が珍しく、不覚にも笑ってしまった。 「別に無理矢理聞いたところで、嘘並べるだけだろ、絶対。まぁお前、嘘つけなさそうだけど。だから、本人が大丈夫って言ってるのなら聞かないよ。めんどくさいのは俺も嫌いだからね。まぁでも、無理はすんなよ」 もちろん、これから何もしないつもりはないけど。 時間も結構経ってしまったし、そろそろ戻らないといけない。 俺とこのままいるのも居心地が悪いだろうしな。 固まったまま動かない圭の頭をくしゃくしゃ撫でて、先に出ていくことにした。

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