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第2話

じっとその人を見てると「あ、あのっ」と吃りながらそのプレートを指さした。 「ま、まつまい君で、あってる······!?」 「合ってます。え、他に読み方ある?」 「まつまえ君かもしれないって、思って······。」 どうやらそれを真剣に悩んでいたようだ。面白い人だなぁと思いながら手を差し出す。 「松舞千紘です。よろしく」 「あっ、小鹿(おが) 優生(ゆうき)です。1年生······だよね?」 「優生君ね。そう、1年生だよ。優生君も?」 「う、うん!同じだね。よろしくね!」 握手をして、早速1人目の友達ができた!と嬉しく思っていると「優生」と低くて圧のある声が聞こえてきて、優生君は怯えたように声の聞こえた方を振り返った。 「早く部屋を片付けろ。オトモダチと話す暇があるならな。」 「は、はい······。ごめんなさい。」 優生君のお兄さんだろうか。優生君は柔らかくて優しくて可愛らしい顔をしているけど、その人はキリッとした顔をしている。けれど何処と無く2人は顔が似ていた。 「千紘君、ごめんね。またね」 「うん、また。」 優生君はあの人に怯えてた。もしかしてあの人はアルファなのかもしれない。 オメガはアルファには逆らえない。アルファの圧倒的な圧力を前にして、逆らう勇気なんてない。 今日は入学式があってすぐだから、オメガの寮にはオメガの家族が出入りできる。ここにアルファがいたっておかしくはない。 「······明日から頑張ろう。」 今日はもう部屋に籠るとして、明日からは何からも遅れを取らないように頑張らないと。 部屋に入り鏡の前に立って、自分の頬っぺを両手でパシンと強く叩き、挟んだ。

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