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第9話
朝になって目を覚ますと、体調はいつも通りだった。
寝癖を直すついでにシャワーを浴びて、制服に着替える。朝は食堂まで行く元気がなくて、またシリアルでお腹を満たした。
寮から学校へは徒歩で10分程度。
その間の道は整備されていて綺麗だ。
白樺学院に来るアルファは大抵金持ちが多い。その人達が出す資金のおかげか、建物も設備も綺麗で整っている。
「おはよう!今日の体調はどう······?」
「おはよう。もうすっかり元気。」
昨日も着ていたけど、ワイシャツに成長を見越して少し大きめのブレザーを羽織り、チェック柄のスラックスを履いた優生君は、やっぱり可愛い。
髪を伸ばせば女の子だと信じて疑わないと思う。
「今日は1限目から数学だってね。僕数学は苦手だから嫌だなぁ。」
「苦手なんだ。俺は英語の方が苦手かなぁ。」
「英語の方が得意だよ。」
凸凹だねぇって笑いあって登校し、教室に入ると昨日絡んできたアルファが、またしても俺達に近づいてくる。
「おい、お前ら東條とどういう関係だ。」
「東條先輩?」
昨日助けてくれた東條先輩は、どういう関係でもない。強いていえば先輩後輩の関係で、知り合い程度だ。
「昨日初めて会ったけど」
「······なら、あいつが何者か知らないのか。」
「何者でもいいよ。東條先輩は君とは違って優しいから。」
「······あっそ。1つだけ忠告してやる。生徒会にはあまり近付かないほうがいい。」
「え······?」
そんな意味不明な事を言って戻っていったアルファ君。
「優生君、どういうことがわかる?」
「わからない。でもあの人、昨日より優しかったね。」
「うん。······何か、人ってよくわからないね。」
少しすると麻倉先生がやって来て、朝礼が始まった。
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