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第18話
「あのね、オメガの初めての発情は辛いものだって知ってるでしょ?アルファである君はオメガの事情に疎いかもしれないけど、チビちゃんはわかるよね?」
「ぁ、う······ごめ、なさい······。」
「今は眠ってるけど、起きたらきっとまた発情するよ。今から病院に連れて行ってあげて。」
赤目君に千紘ちゃんを渡すと、眉間に皺を寄せて唇を強く噛んだ。
ああ、フェロモンに当てられてるんだ。
「赤目君は先に抑制剤を飲んだ方がいいね。」
「······わかってるなら渡すな。」
「あ、赤目君、口開けて!」
赤目君の口に抑制剤を放りこんだチビちゃん。それから口元に蓋を開けたペットボトルを寄せて上げて、薬を飲ませてあげてる。
「ん、サンキュ。」
「ううん。病院行くんだよね······保険証······あ、千紘君のカバン、貰っていいですか······?」
「あ、うん。ごめんごめん。」
カバンを渡すと財布の中を見て保険証を確認していた。そこに入っていたらしくて、「行こう」と言って赤目君の背中を押す。
「······俺もついて行くよー。」
何だか見ていて不安になる。
もし行ってる間に発情が起こったら、赤目君が無事っていう保証は無いし、そこをチビちゃんがなんとかできるようにも思えない。
タクシーを拾って行き先を伝える。
もしかしたらすごい面倒事に足を突っ込んじゃったかも。
病院に着くと俺達は直ぐに隔離された。
医者がやってきて薬を使っても発情がマシにすらならないと話すと点滴を打たれて、早いところ番を見つけるか、毎回こうして点滴を打つしかないと言われてしまった。
「松舞さんが起きたら、もう1度お話しましょう。その間は皆さんも休んでいてください。大変だったでしょう。」
確かに、体は疲れている。
用意された椅子に座って、ぼーっとしていると「飴いりますか?」とチビちゃんが聞いてきた。
「食べる食べる。」
「はい」
「ありがとね。」
糖分は大切だ。頭が働かなくなったら困る。
さて、俺はこれからどうしようか。
千紘ちゃんを俺のものにしてしまうのもいい。体の相性もよかったし。千紘ちゃんさえ許してくれたら、俺は喜んで番になるんだけどな。
「······番になる気か?」
「年上には敬語を使えって教わらなかったの?」
赤目君は殆ど睨むようにして俺を見るから、薄く笑って言葉を返す。
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