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第19話
「······番になる気ですか。」
「千紘ちゃんがいいって言えばねぇ。まあ、そんな簡単にはいかないのはわかってるけど。」
「あんたは生徒会だから信用出来ない。」
「あれ、おかしいな。生徒会は信用されてる人間が選ばれる役職なんだけど。」
でも確かに、俺も生徒会長と副会長は苦手だなぁ。完璧主義なところとか、それを押し付けてくるところとか。
「ん······」
「あ、千紘君!」
千紘ちゃんが目を覚まして、辺りを見渡し、それから俺と視線が合うと悲しげな表情になった。
「ぁ、あの······」
「うん、話は後でしよう。医者呼んでくるから待っててね。」
近くにいた看護師に千紘ちゃんが起きた事を伝えて病室に戻る。医者はすぐにやってきて、俺達にした説明と同じ説明を千紘ちゃんにした。
千紘ちゃんは顔色を真っ青にして、体を震わせている。
医者の話も終えて、千紘ちゃんの体が落ち着いたら帰ることになった。
「千紘ちゃん、とりあえず寮に戻って今日は休もう。いや、発情期は大体1週間だ。その間は寮に篭っておいて。発情期の届けは東條が出してくれてるから。」
「······ま、また、発情するかもしれないの······?」
「それが怖くて嫌なら、早く番を見つける事だ。」
そうはっきりと伝えると、涙目になって俺に手を伸ばす。
「どう、しよう······高良先輩、どうしたらいいの······っ?」
「······兎に角今は落ち着きな。大丈夫、俺はいつでも味方になるし、話は聞くから。」
そう言って目尻に溜まった涙を拭ってあげる。抱きしめると泣き出して、今まではオメガがどうなろうと興味はなかったけど、千紘ちゃんの事は守ってあげたいなって思った。
「あ、そ、そう言えば······届けって、何?」
少し落ち着いてから千紘ちゃんがそう聞いてきた。
「聞いてないの?発情期に入ってしまえば授業なんか出れないでしょ?その届けを出したらオメガも番のアルファも公欠になるんだよ。」
「······留年はしない?」
「発情期で留年する人はいないね。」
入学前の説明会で聞いてるはずなんだけどな。
ああそうか、今まで発情期が来てなかったから、他人事のように流して聞いていたのか。
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