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第31話 悠介side
千紘ちゃんを寮に送り、俺も1度寮に戻ってから学校に向かった。
まず行くのは教室じゃなくて生徒会室。中に入ると生徒会長が書類を睨みつけていた。
「おはよ」
「ああ、おはよ······おい、お前凄く甘いぞ。」
訝しげに俺を見てそう言った会長。
自分の匂いを嗅いでみるけど、いつも通り。甘いとは思わない。
「ちゃんと朝から風呂入ったんだけどなぁ。」
「······悪いがあまり近づかないでくれ。」
「あ、うん。俺の方こそごめんねぇ。······で、その資料は何?」
「カボチャを使ったレシピだ。煮付けと天麩羅位しか今までしたことがなかったんだけど、新しいものも食べたいと思ってな。」
会長は少し変わっている。
生徒会の中で1番金を持っているのはこの人。それなのにいつも何故か自炊している。
「カボチャは切るのが大変なんだ。でも最近テレビで見た。てこの原理を使えってな。」
「······そう」
テーブルを四方から囲むソファーの1つに座る。向かい側に座る会長は「これは美味そうだ」と言って資料に丸を付けていた。
「ところで、オメガの相手、大変だったな。」
「東條達に聞いたの?」
「ああ。そのオメガも入学早々大変だったな。やはりオメガに対してのサポートをもう少し厚くするべきだろうか。休んだ授業分、良く出来る先輩や教師が個別で教えてやるとか。」
「うーん、それはオメガの子に聞いた方がいいんじゃない?」
そう言うと会長はこくこくと頷いた。
「そうだな。早速明日オメガを集めよう。手配をしておいてくれ。」
「えー、俺そう言う担当じゃない。」
ブーブーと文句を言えば、会長が俺を見て目を細める。
「お前の気になるオメガに会えるんだぞ?」
「······そんな事しなくても会えるけど。」
「いいだろ、手伝え。元はと言えばお前のそのオメガがきっかけで······」
「あー、はいはい。わかったわかった。」
自分が文句を言うのは言いけれど、誰かに言われるのは嫌いだ。
「よし。決まりだ。今からその事を書いたプリントとアンケート用紙を作ってくる。」
「はーい、いってらっしゃい。俺はもう少ししたら教室に行くよ。」
「ああ、じゃあな。」
意気揚々と生徒会室を出ていく会長。
俺はソファーにごろっと寝転がり、少しだけ眠ろうと目を閉じた。
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