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第32話

15分程眠っていると、生徒会室のドアが開いてその音で目が覚めた。 「おい、ここは寝る場所じゃない。」 「······うるさいな」 やってきたのは副会長。俺の嫌いな人。 「ずっと休んでいたんだ。お前がやる仕事は山のようにあるぞ。」 「······なぁんでそんなに挑戦的なのかねぇ。」 「さっさと授業を受けに行け。」 「お前は?」 「俺は許可を得てここに居る。」 面倒な副会長から逃げようと生徒会室から抜け出した。廊下をしばらく歩いて教室に着く。中に入るとホームルームが終わったところだった。 「おはようございます、高良君!」 「うん、おはよ。······どうしたの?やけに嬉しそうだね。」 クラスメイトの安達(あだち)君。いつも俺の周りをチョロチョロとしてるような子。 「1週間も来なかったから心配だったんだ。発情期の届けを出してたって聞いたから、オメガの世話をしてたのかなって。······ねえ、そのオメガって誰?」 「······さあね。」 「何で教えてくれないの?俺も何か手伝えることがあるかも。」 安達君はオメガだ。だからそう言われたっておかしくはないのかもしれないけれど、違和感があって、なかなか受け入れられない。 「そう、じゃあ何かあったら言うよ。ありがとう。」 「うん!」 席に着いて、体が少しだるいなぁと苦笑を零す。でも嫌なだるさじゃない。あの可愛い千紘ちゃんの姿を見れたわけだし。 「あ、ノートいる?授業、ちょっとしか進んでないから、少しだけだけど。」 「いる、ありがとね。」 また安達君が色々と世話をしてくれる。 俺としては有難いし、利用できるから助かる。 だから、あまり警戒はしていなかった。

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