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第39話
***
翌日、いつも通りに学校に向かう。
いつもより学校がざわざわしている気がするのは、ただの俺の気の所為だろうか。
「おはよう!」
「あ、おはよう。」
教室に着くと千紘が早速俺の方にやってきて「ごめんね、プリントある?」と聞きながら両手を出してくる。
「ああ。あとノートはコピーした。」
「えっ!?お金返すよ!ありがとう!いくら?」
「要らない。これがノートで、こっちがプリント。分からないところあったら言ってくれたら教えるから。」
「本っ当にありがとう!!」
そういえば、優生は席に着いたまま、どこかを緊張した面持ちで見ている。
「優生、おはよう。」
「おっ、おはようっ!」
「あー、お前ら今日の放課後何かあるんだったな。」
「そうなんだよー!オメガだけ生徒会から呼び出し。何かやだよね。······まあ、高良先輩もいるし、東條先輩もいるから、あんまり大きな声では言えないけど。」
えへ、とわざとらしく笑った千紘は、何故か俺をにんまりとした顔で見てくる。
「何?」
「ううん!あー······、俺ちょっとトイレ!」
「えっ、千紘君!」
千紘がわざわざ報告をして教室から飛び出した。優生は何故かオドオドしている。もしかして未だに俺が怖いのか?
「おい、何でそんなに挙動不審なんだよ。」
「あっ、あ······えっと······」
「何かしたか?」
「違う!」
大きな声でそう言って、椅子から立ち上がった優生。俺の腕を掴んで、そのまま教室を出てどこかに向かう。
「優生?どこ行くんだ?」
「は、話があるのっ!」
「わかったわかった。ちゃんと聞くからちょっと待てよ。」
教室に千紘が戻ってきた時、1人だと俺達はどこに行ったんだって、きっと不安がる。それはあいつがオメガだからってこともあるけど、1人にされるのは誰だって嫌だと思うから。
「千紘が1人だと寂しがるぞ。」
「っ······ち、千紘君の事が好きなの?」
「は?」
立ち止まった優生にそう聞かれて、思わず思考が停止した。
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