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第42話 千紘side

「アウトだよ······。そんなの言っちゃダメ······。」 「本当の事なんだから仕方ないだろ。」 そんなこと言われてしまったら俺なら落ち込んでしまう。だから優生君は先に帰ってしまったのか。 「······別に、今はまだ好きじゃないだけで、あとからそうなるかもしれないだろ。」 「でもね、そう言われた時点で気は滅入るよ。明日からどう過ごそうとか、どうやって接したらいいんだろうって、不安になってると思う。」 正直に伝えると、匡は困った様な表情をして「どうすればいい」と聞いてきた。 「······今はわからないけど、って伝えたらいいんじゃない?」 「告白もされてねえのに?俺の事好きらしいからちょっと待ってろって?」 「それしか方法はないでしょ。」 話しているとチャイムがなって、麻倉先生がやってきた。ホームルームはいつも適当に始まって適当に終わる。今日も特に例外はなく終わった。 「あ、小鹿は休みだから仕方ねえけど、松舞はちゃんと放課後行くんだぞ。」 「はーい」 先生が出て行って、1限目の数学の準備をする。優生君が居なくて、放課後1人で行くのは嫌だなぁと思いながら匡のくれたノートのプリントを見て、あ、これ懐かしい······と昔やった内容を思い出していた。 *** 6限目の終わるチャイムが響く。 ああこれから1人で行かないといけないのか。 「匡ぉ、先に帰っちゃうの······?」 「帰るよ。俺関係ねえし」 「······教室まで送って」 1人が嫌で仕方が無い。駄々をこねると匡も渋々といったように俺を例の教室まで連れていってくれた。 「千紘ちゃーん!」 「先輩!」 「あれ、赤目君が送ってくれたの?じゃあ帰りは俺が寮まで送ってあげる。」 「やったあ!」 匡の手から先輩の手に移って、「ありがとう、匡」とお礼を言うと「気をつけろよ」って言って帰って行った。 「気をつける?何を?」 「あれ、そう言えばチビちゃんは?」 「チビちゃん?······あ、優生君の事ですか?体調が悪いって帰りました。」 「そうなんだね。休んだ子には今日のことプリントにまとめてあげるのがいいかな。」 教室に入り、特に指定されていないみたいで、適当な席に着いた。 「あ、東條先輩だ。」 「そういえば知り合いだっけ?──東條!」 先輩が名前を呼ぶと、東條先輩がやって来て俺を見るなり安心したような表情になった。

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