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第44話
何だか幸せになれそうな匂い。
今入ってきた人が香水を付けているのかなとその人を見ると、背中にビリビリと電流のようなものが走った。
「オメガの諸君、集まってくれてありがとう。俺は生徒会長の赤目 偉成 だ。」
名前が苗字が赤目ってことに驚いた。そしてその見た目は匡に少し似ている。
いやそれより何より、今体に走った感覚が強烈すぎて頭がクラクラする。
ぼーっとしていると、生徒会長と目が合って、会長も目を大きく見開き固まった。
「······副会長······高梨 はどこにいる。」
「ここにいますが。」
「説明をしてくれ。俺は······少し用ができた。」
そういうや否や、俺に近づいてきて腕を取られる。
「立て」
「っ!」
抵抗しようにも、会長の言う言葉通りに体が動いてしまう。それを止めることは出来ない。
「か、会長ー?千紘ちゃんに何するつもり?」
「悪いな高良。かぼちゃについてはまた今度話してやるから、今はそこを退いてくれ。」
「いや、かぼちゃじゃなくて、千紘ちゃんに対してなんだけどな······」
結局、会長が俺になにか悪いことをするんじゃないと思ったのか、高良先輩はドアの前から退いて、俺と会長を外に出した。
触られてる部分が熱い。何これ。まるで発情期の時に感じた熱さみたいだ。
そのままどこに連れていかれるのかと思っていたら、着いた先は生徒会室だった。部屋に入った途端、壁に体を押し付けられ、目の前に迫る会長の綺麗な顔にドキリとする。
「すまない、体が勝手に動くんだ。許してくれ。」
「え······っん!」
唇に当たる柔らかいそれ。
次第に舌が口内に入ってきて、蹂躙する。
気持ちよくて抵抗なんかする気は起きない。むしろもっと欲しくて、会長の背中に腕を回す。
「んはっ、ぁ······っ、くる、し······っ」
あまりに長い口付けに息が出来なくなって、会長の胸を叩いた。ゆっくりと離れて、目が合うと驚いた。まるで飢えた獣だ。
「か、会長······?」
「······お前、名前は。」
「松舞千紘、です······。」
「俺の名前はさっき教えたな。······呼べ」
アルファには逆らえない。それがいつも嫌だったのに、今はむしろ従いたい。
「······い、偉成」
そう言うとまたキスをされて、その熱に溺れた。
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