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第46話
高良先輩と教室を出ると、ついに我慢できなくなって目からポロポロと涙が溢れては頬を伝い、光を拾って落ちていく。
「何があったの?」
高良先輩が運命の番だったらよかったのに。
こんなに優しくて、俺の事を気遣ってくれる。
「······誰にも、聞かれたくないっ」
「······じゃあ、とりあえずここから離れようか。空き教室ならいくらでもあるしね。」
先輩に腕を引かれて、涙を手で拭い俯きながら足を動かす。俺の歩調に合わせてゆっくり歩いてくれる先輩はやっぱり素敵な人だ。
空き教室について、椅子に座らされる。
そういえばさっき安達先輩に"高良先輩は俺が近づいていい人じゃない"って言われたばかりなのに、申し訳ないな。
「で、どうしたの?会長も千紘ちゃんも様子がおかしかったから止めはしなかったけど······」
「············」
言ってしまっていいのかわからない。
でも、言わないと何も解決しない。
「······運命の番」
「え?」
「俺と、生徒会長が、運命の番みたいです。」
聞こえるかどうかわからない程小さな声だった。けれど高良先輩には届いたらしい。
「運命の番······?千紘ちゃんと、会長が?」
こくり、頷くと高良先輩は俺の手を握って悔しそうな顔をする。
「ダメだよ。運命の番なんて信じなくていい。千紘ちゃんが思うようにすればいい。······ねえ、俺と番になろうよ。」
なんだかすごく怖いな。
運命の番が見つかったからか、こうして高良先輩と番になれるチャンスだからか。
いや、きっとどっちもだ。
俺の人生を左右する最も大きな事かもしれない。
「······ごめんなさい。今は、何も考えられない······。」
自分を守ることで精一杯で、何も考えたくない。
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