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第47話 悠介side

フラフラで、千紘ちゃんを送ったあと、どうやって寮まで戻ってきたのかがわからない。 「ああ、高良。今日は悪かったな。」 廊下を歩いていると、たまたま鉢合わせた会長がまるで何も無かったかのようにそう言った。 「何、してんの?」 「運命の番が見つかったから親に報告していたところだ。」 「本当に運命の番だと思うの?あんなの都市伝説じゃないか。」 そう言って会長に詰め寄る。心から欲しいと思わないなら、俺から千紘ちゃんを取らないで欲しい。 「いや、そうじゃない。確信したんだ。今日あの教室に入った時に嗅いだことの無い甘くて俺の大好きな匂いがした。松舞と目が合うと体に電流が走るような感覚に陥って、もう目が離せなかった。」 「······なんだよそれっ」 腹が立って会長の胸を殴り付ける。 会長は訝しげな表情をして、俺の顔を覗き込んだ。 「さては、この前発情期だったオメガが松舞だったか。」 「そうだよ。俺のものにしようって思ってたのに······。運命の番なんてクソ喰らえだ。千紘ちゃんに何も思ってないなら、潔く離れて。」 そう話をしていると「げっ」と聞いたことのある声が聞こえてきた。 振り返ると赤目君が居て、自分の兄貴に俺が詰め寄っているこの状況を見て喧嘩をしていると判断したらしい。 「喧嘩なら外でしろよ。」 「久しぶりだな、匡。」 「俺に話しかけんなクソが。おい高良先輩、殴るのはやめておけ。苛立ってんなら部屋に戻って1人になれば少しは落ち着くだろ。」 そう言って俺を会長から離す。 「それでも無理なら、話くらいは聞けるから。だからちょっと深呼吸して、落ち着け。」 「赤目君の兄貴が千紘ちゃんの運命の番だ。」 でも俺がそう言うと顔色を変えて、俺を制していた力が弱くなる。 「千紘ちゃんは泣いてたよ。」 「······おいお前、千紘に無理矢理迫ったんじゃねえだろうな。」 「キスはしたぞ。お互い何も考えられなくてな。」 「っ」 悔しくて会長を睨み付ける。 「合意の上だろうな?結果的に千紘は泣いてたんだ。」 「わからんな。でも松舞は気持ちよさそうにしていたぞ。腰を抜かして立てなくなっていた。」 「······そんなことはどうでもいいんだよ。」 なんで会長と千紘ちゃんのそんな事を聞かないといけないんだ。 「千紘に近付くな。運命でもなんでも、千紘が許さない限りはな。」 赤目君がそう言って、俺の背中を押し無理矢理会長から離れさせて部屋の前まで送ってくれた。
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