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第48話
「ごめん、つい取り乱した。」
「いや······あんた、千紘が好きならちゃんと守れよ。」
「守る?会長から?それはもちろんだけど。」
「それもだけど、あんたは生徒会の役員だ。狙ってるオメガは多いだろ。千紘とあんたが仲良いとなるとよく思わない奴もいる筈だ。」
そう言われて思いつく人物は安達君。
あの子はやけに俺に執着してるように思えるかは、少しは警戒するべきなのだろうか。
「忠告ありがとう。」
「いや······。じゃあな」
後輩が"じゃあな"なんて言うか?と思ったけど、今は目を瞑ってやろう。
部屋に入って鍵を閉める。
「千紘ちゃんが頼るのは、俺だけがいいなぁ。」
ぽつりと呟いた言葉はただの願望で、誰にも届くことは無い。
本当にそうなって欲しいんだ。
千紘ちゃんを幸せにできるって、自信があるから。
「千紘ちゃんは暫く学校に来ないかもな······」
俺なら動揺して学校になんて行ってられない。とはいってもアルファとオメガじゃ感じ方がきっと違う。
きっと俺が考えているより、もっと深刻で、怖いと思う。
「······チビちゃんが見ててくれたらいいんだけど。」
でも、今日は来てなかった。体調不良って言っていたな。
喧嘩とかじゃないならよかった。
とにかく、赤目君に言われた通り、千紘ちゃんを守らないと。
ふにゃふにゃだった気持ちに喝を入れてシャキッとさせた。
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