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第51話 悠介side
翌日、千紘ちゃんは学校を休んだみたいだ。気になって千紘ちゃんの教室を覗いたけど、居たのは赤目君とチビちゃんだけ。
「赤目君」
「ああ、あんたか。」
「千紘ちゃんから連絡は?」
「今日は休むって昨日の内に連絡があった。」
赤目君がそう言ってスマートフォンの画面を見せてくる。確かに、千紘ちゃんとのやり取りがそこにあって、連絡があっただけでもマシか。と少し胸をなでおろした。
「で?今日はチビちゃんと一緒にいないんだね。」
「······空気読めよ。今は居れないんだよ」
「え、何で?喧嘩?」
「違う。俺が······近付きにくいだけ。」
そう言って視線を逸らした赤目君。
「何?告白でもされた?」
「······されてない」
「じゃあ何さ!気になる気になる!」
千紘ちゃんが居ないからつまらなくて、いいおもちゃを見つけたと思い赤目君を引っ張って廊下に連れ出した。
「あー!もうなんだよ!」
「教えてよ、大好きな先輩にさ!」
「嫌いだわ。面倒くせぇもん」
「そんなこと言ってぇ。本当は大好きでしょ?」
そう言うと本気で嫌そうな顔をするから、仕方なく手を離してあげる。
「で、何で仲悪くなってんの?千紘ちゃんのこと任せようにも2人に任せられないじゃん。」
「昨日······千紘が好きなのかって聞かれたんだ。だから1週間やそこらで誰も好きにならないって言った。多分······優生は俺のことを好きでいてくれたんだと思う。」
「あちゃー!それはそれは······告白する前にフっちゃったってやつか。気まずいねぇ。」
チビちゃんが少し可哀想。
そこで告白はしてないんだからって、何事もなく過ごせるくらい強けりゃいいけど、チビちゃんはそんなタイプじゃなさそうだしなぁ。
「時間が解決してくれるかもね。それか千紘ちゃんが。」
「千紘はそれどころじゃないだろ。」
「まあ、そうだよね。······ていうか、千紘ちゃんのこと見ててあげてよ。俺がずっとそばにいたいけど、さすがに授業の時とかは難しいからさ。」
「もう彼氏気取りか?」
舐めた口ききやがって。
いやでもまあ、俺は優しい先輩だし、実際彼氏みたいに振舞ってしまったところはあると思うから聞き流した。
「じゃあね。早く仲が戻ればいいね。」
俺も早く千紘ちゃんに会いたいな。
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