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第52話
生徒会室に戻ると会長と副会長がいて、気分はダダ下がり。東條がいてくれたらまだしも、今会いたくないベスト2の2人がいるなんて。
「高良、今更ここに来ても寝かせないぞ。もう授業が始まる。さっさと教室に戻れ。」
「高良聞いてくれ。パンプキンスープを作った。今晩俺の部屋に食べに来てもいいぞ。」
言葉だけ聞いていると副会長が会長で、会長が副会長みたいだ。
「戻らないし行かないよ。会長、話があるんだけど。」
「松舞の事か?いいぞ、話を聞こう。向こうの部屋でな。」
「偉成、それだからお前はなめられるんだ。」
「なんだ俺の名前を呼ぶなんて珍しいな。俺もお前を名前で呼んでやる。な、誉 。」
「······もういい。早く行けよ。」
会長は俺にはよくわからない思考回路をしてる。これが学年トップの成績をとるし、運動神経も抜群で、顔良しスタイル良しの完璧なんだから不思議だ。
「で、松舞の何を話すんだ?番についてか?」
生徒会室の奥にある、小さな部屋。
そこに入って椅子に座り向かい合う。
「俺ね、千紘ちゃんが会長がいいって言わない限りは、千紘ちゃんが会長の物にならないように邪魔をするよ。」
「······お前は迷惑だな。」
「それでも邪魔をする。だって俺は千紘ちゃんのことが好きなんだ。俺の方が会長より先に千紘ちゃんを見つけた。」
そう言うと会長は鼻で笑って「いいか?」と諭すように話し出す。
「俺はその次元で物を言ってるんじゃない。俺と松舞は運命に選ばれたんだ。確かに俺は松舞に何の感情も抱いていない。だが、あれはもう俺の獲物だ。お前がどれだけ足掻こうが狩るのは俺なんだ。」
「······っ」
悔しい。
アルファの圧力は膨大すぎるんだ。会長は普段はそんなもの感じさせないのに、ここぞって時にはそれを曝け出してくる。だから、言い返せやしない。
「わかったなら、大人しく引き下がれ。どれだけお前が松舞に好かれていようと、俺達は惹かれ合う。お前がどうこうできる話じゃない。」
わかってる。わかってるけど、抗いたいんだ。
このまま千紘ちゃんを取られたくない。
俺にここまで何かを取られたくないっていう感情があるなんて、初めて知った。
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