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第60話

それから会長と高良先輩の話をして、その後に匡と優生君のことを伝えた。 「でも俺、知らない間に優生君を怒らせたみたい。」 「えー?千紘が誰かを怒らすなんて珍しいわね。優生君が勘違いしてるとかないの?」 「何を勘違いするのさ。」 「なんで母さんに聞くのよ」 「母さんが聞きたいわ」と言って、用意してくれた晩御飯を食べ始める。 久しぶりに食べる母さんの手作りのご飯は美味しくて、ついつい笑が漏れる。 「匡の事が好きだって言ったから、応援しただけなのにな」 「それが不味かったんじゃない?」 「何で?応援する他に方法はないでしょ?」 「鬱陶しいって思われたとか?知らないわよ母さんはぁ!男子高校生になったことないんだから!」 カラカラと笑う母さん。 息子がこんなに困ってるって言うのに笑うなんて。 「そのうち仲直りするわよ。大丈夫」 「本当?」 「千紘達次第ね。」 「もう!」 なんのアドバイスにもなってないよ。 ハハ······と乾いた笑いを零すと、母さんは俺の口に唐揚げを突っ込んできた。 「食べて元気だして!」 「んっ、ありがとう······。」 なんともパワフルな母さんだと思う。 ご飯を食べ終わって、母さんが皿洗いをして俺がお皿を拭き食器棚に片付けた。 父さんはまだ帰ってこない。 「千紘!お風呂入っておいで!」 「はーい」 着替えを持ってお風呂場に行く。 ササッと髪と体を洗い、お風呂から出てスマートフォンを見るとSNSにメッセージが入っていた。 「高良先輩だ······」 高良先輩からメッセージが来るのは嬉しい。俺が家に帰って学校のことが不安になっていないか心配してくれたみたいだ。

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