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第62話 偉成side

突然だが俺は天才だ。 それに加えて容姿は完璧だし、金持ちだ。 「許可書がある。中に入るぞ」 「どうぞ」 家から借りてきた使用人と共にオメガの寮に入って松舞の部屋を探す。 部屋を見つけて、マスターキーで鍵を開ける。 松舞が今日から帰省しているのは知っていた。 「ここを片付けろ。」 置いてある家具や服を使用人に片付けさせて、部屋の外に出す。 「な、何してるんですか!?」 「ん?ああ、君は松舞の友人だったな。見ての通り引越しだ。」 「引越し!?」 なんて言う名前だったか。 確か······ああそうだ。小鹿だ。 「ああ。俺と松舞は運命の番だからな。同じ部屋で暮らすことにした。」 「そんなの······学校側は許してるんですか?」 「番同士ならアルファとオメガが同じ部屋で暮らすのは問題ないんだ。」 「千紘君は、それでいいって言ってるんですか······?」 何だこのオメガは。面倒くさいな。 俺達のことについて他の人間にどうこう言われる筋合いはない。 「小鹿だったな。お前にそれを教えたところでどうにもならないだろ。執拗いぞ。」 「す、すみません······。」 ここにある家具のベッドは捨てることにした。あの小さなベッドに2人で眠ることは出来ない。 「それは撤去しろ。」 「はい」 部屋を片付けて、俺の部屋に荷物を運ぶ。 生徒会になると普通のアルファとは別で、特別に大きな部屋を渡される。そこは2人で住んだとしてもまだ余裕がある程広い部屋だ。 「偉成、お前は何をしてるんだ。」 そこに突然、誉がやってきた。 引越し作業を見て驚いたらしい。 「松舞の荷物を運んできた。今は帰省していてな、戻ってきたらここで一緒に暮らす。」 「唐突だな。松舞はいいと言ってるのか?」 「さあな。だがオメガはアルファに逆らえない。それに運命の番でもあるからな。」 それを利用してでも、手に入れてやろうと思う。 なかなか会うことの出来ない運命の番を、みすみす逃してたまるか。 「無理矢理自分のものにしようとすると逃げるぞ。」 「必ず俺のものにする。誰にも渡さない。」 「······まあ、そうなればいいけどな。」 誉はそう言って俺に何らかのプリントを渡してくる。 「オメガを集めた時にした話を纏めたものだ。体調不良やらで休んだオメガ達に配る予定だから内容を確認してくれ。」 「お前が確認したなら問題ない。月曜日に配布しておけ。」 「わかった。」 プリントを返し、ソファーにドサッと座った。

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