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第77話
この間も今日も、俺ばかりが気持ちよくなってる。少しくらい会長にだってそれを感じてほしくて、緩く勃起してる会長のペニスに服の上から触れると「こら」と怒られてしまった。
「いつも俺ばっかりだから······」
「俺がしたくてやってる。千紘は気にしなくていいよ。」
そう言ってキスをされて、結局流されてしまう。だって気持ちよくて何も考えられない。
「千紘、今日は早く寝た方がいい。」
「······偉成も一緒がいいです。」
「ああ、一緒にな。でも俺はやらないといけないことがあるから、先にそれを終わらせてくる。いいか?」
「······うん」
本当は離れたくない。
だってそばに居ると安心できるから。
いつの間にか、運命の番のせいで体が勝手に会長を求めてしまうことも受け入れた。そうしてしまうと楽だったからか、それとも心が揺れ始めたからか。
高良先輩のことも気になるけれど、そういう不安なんかも会長と居ると薄れていく。
きっと会長がどうにかしてくれると、思っているのだろうか。
「偉成」
「ん?どうした」
生徒会の仕事をしてる偉成の背中にくっつく。
胸いっぱいに匂いを嗅ぐと心がだんだんと満たされていった。
「偉成······偉成、偉成······。」
「······どうやら今日は本当に疲れてるみたいだな。」
「好きって言ってください。そう言われたら、安心する。」
「好きだよ。千紘、顔見せて。」
背中から離れると会長が振り返って俺の顔を見て、それから優しく抱きしめられる。
「学校で何があった?教えてくれ。」
会長に言ってしまうと負けた気がして、今まで言えなかった。
でも、もう疲れてしまった。
「······俺、今色んな人に悪口を言われてて······。」
「悪口?低能な奴らだな。何を言われた。」
「聞こえてきた言葉は、ビッチだとか、そういうの。」
恥ずかしくて会長の肩に顔を埋める。
「でも、急に始まったんです。俺の私物だって無くなることもあるし、匡が一緒に居てくれるからまだ我慢できるけど、疲れちゃった。」
「そうか。······気付かなくて悪かった。」
「ううん、偉成は悪くないんです。俺が隠してただけ。偉成を頼ってしまうとダメだと思ったから。」
ゆっくりと顔を上げる。目が合うと困ったように笑った会長が俺の頭を優しく撫でる。
「もっと頼っていい。」
「······何で?運命の番だから?」
「ああ。それに俺は好きな人には頼られたい。」
胸がキュンキュンする。
こんな状況でも、運命の番相手となるとときめいてしまう。
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