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第83話
とある空き教室に連れ込まれる。
先輩は相変わらず笑っていて、俺を椅子に座らせ、自分は立ったまま、俺を見下ろす。
「さっき、何してたの?」
「······ぁ、あの······。」
「質問に答えて。」
威圧がすごい。
怖くて、体がガクガクと震える。
「ち、ちひろ君の、上履き······」
「上履きを、どうしようとしたの?」
「はっ、ぁ、い、ぃ······ひっ······か、隠そ、うと······っ」
「ふぅーん。」
呼吸が浅くなる。
こんなにも怖いと思ったのは初めてかもしれない。
「主犯は誰?」
「っ!」
「答えてくれたら、見逃してあげる。言わないならこのまま会長に報告するよ。君はこの学校にもう居れなくなるかもね。」
「······っ、い、言ったら、怒られる······!」
「ねえ、主犯の子と俺と、どっちの方が上かわかるよね?ましてやこの学校に会長より上の人はいない。」
脅されてる。
その理由は千紘君を守るためだ。だから羨ましい。僕も必死で僕を守ってくれる人が欲しかった。
「っ、ぁ、安達、先輩······」
「······ありがとう。」
それだけ言って高良先輩は教室から出ていった。俺は緊張の糸が解けて涙が溢れてぽたぽたと零れていくのをそのままに、千紘君に謝り続けることしか出来なかった。
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