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第95話
戻ってきた会長は相変わらず全裸で、思わずくすくすと笑ってしまう。
「下着くらい履いてくださいよ」
「どうせ風呂に入るんだしいいだろ」
洗濯物と着替えを持ってまた部屋を出て行く。しばらくするとお風呂がわく音がして、その少しあとに会長が来て俺をシーツごと抱き上げた。
「わっ!」
「シーツは洗濯機に入れてくるから、先に風呂に入っていてくれ。」
「わかりました。」
そばにある会長の首筋にキスをする。
お風呂場に連れていかれ、鏡を見ると身体中にキスマークが散らばっていて驚いた。
「な、なにこれ!」
何も知らない人が見たら病気と間違えられてもおかしくない。
「千紘?どうした。」
「き、キスマーク、こんなに!?」
「ああ、無意識につけてしまっていた。」
戻ってきた会長は俺の体を見て柔らかく笑う。
「俺のものだ」
「······疲れました。偉成が洗ってください。」
「もちろんだ。」
まずは髪を洗ってくれて、それからボディーソープを泡立てふわふわのそれに体が包まれる。
「あわあわだ」
「摩擦は良くないらしい。だから泡で洗うんだ。」
「あんまり気にしたこと無かったなぁ。」
ボディーソープのいい匂いが浴室を満たす。
「お前の体は綺麗だからな。傷1つ作って欲しくない。これからは俺が洗ってやる。」
「え······。偉成の変態さが増してる気がする。」
「それより千紘、明日は学校に行こう。お前の教室まで送るよ。」
「······悪口言われたら偉成に電話していい······?」
「ああ。すぐに会いに行こう」
泡を流されて、裸で抱き合う。
この人と離れたくないなって心が思う。
「好き」
「俺もだ。愛してるよ。」
その日はただ偉成と愛し合っただけで終わった。
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