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第97話
「君を虐めるように指示されたんだ。怖くて言うことに従う事しか出来なかった。昨日······君の上履きを隠そうとして、高良先輩に助けてもらったんだ。」
「助けてもらった?」
「うん。しちゃいけないってわかっていたんだ。だから固まってしばらく動けなかった時に声をかけられて、それで目が覚めた。高良先輩のおかげで止めれた。······本当にごめんなさい。」
驚いて声が出なかった。
安達先輩が関わっていた事も、優生君が言いなりになっていた事も。そもそも優生君が嫌がらせの件に関わっていたなんて思っても見なかったから。
「あ······大丈夫だよ。謝ってくれたし······。」
「本当にごめんね。もう絶対······こんな事はしない」
「うん······。まだちょっと混乱してるんだけど······、とにかく仲直りしよう?」
握手をして前の関係に戻れるように、心の中で祈る。
匡は俺たちが仲直りしたのが嬉しいのか、口元に薄く笑みを浮かべていた。
「匡君も、ごめんなさい。」
「俺は別にいいよ。謝れるようなことされてないし。」
匡とも仲直りできて一安心だ。
帰ったら会長に報告しないと。
「そういえば千紘。昨日は何で休んだんだ?」
「行きたくないって思ったの。だから偉成と······あ、会長と一緒に休んだ。」
「今偉成って言ったな?お前はどこまで許したんだ?」
「どこまで?······でも俺、偉成の事はもう運命の番として認めてるよ。だから······次の発情期には契約するつもり。」
「はあ!?」
そう言うと、優生君も偉成も目を見開き、あんぐりと口を開けた。
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