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第110話 千紘side

翌日、腰の違和感に悩まされながら登校した。 そんな俺を見て何かを察した優生君が苦笑を零す。 「会長は優しくいてくれないの?」 「優しいけど······。昨日は俺が悪いから仕方ないんだよ。······高良先輩も悲しませちゃって。」 「千紘君が羨ましい。君を守る為に、会長も高良先輩も動いてくれるんだもん。」 「高良先輩が······?」 会長がいつも俺を守ってくれている事は知っていた。けれど、高良先輩までそうだったのか。 「君に······嫌がらせをしてた時、君が傷つかない為に僕を止めてくれたのは先輩だし、安達先輩や関わっていたベータを止めたのも先輩らしいよ。高良先輩が本気で怒ったって、噂が流れてた。」 「嘘······。」 それなのに俺はあんなに酷いことをしたんだ。知らなかったとはいえ、自分が嫌いになる程腹が立ってくる。 ホームルーム開始を知らせるチャイムが鳴る。それと同時に息を切らした匡がやって来て席に座った。匡がギリギリに登校してくるなんて珍しい。 そして今日も相変わらずゆっくりと教室に現れた麻倉先生が出欠をとって軽く話をする。 「もう少しで中間テストがある。各自しっかり勉強をしとけよ。高校で初めのテストだ。気合い入れて頑張れ。」 ちゅ、中間テストだと······? そのことをすっかり忘れていた俺は、一気に焦ってきて、慌てて挙手した。 「お、どうした松舞。」 「補習とかって······」 「欠点を取れば補習がある。まあ、欠点は30点未満のことだから、全く勉強をしてない限りは取らないだろう。」 あ······ダメだ。 俺、欠点を取りそう。 学校は結構な頻度で休んでいたし、その分の勉強はなかなかできていない。 これはもう、会長に教えてもらうしかないな。 「じゃあ、ホームルーム終わり。1限の準備しろよ。」 教室が騒がしくなる。 1限目は国語だ。今日から必死に勉強しないと。

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