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第114話
中間試験も近い。
自分の勉強もしないといけないけれど、それよりも千紘だ。何度か学校を休んでいるからきっと焦っているに違いない。なるべくサポートしてあげないと。
「あー、体育祭······準備しないと······。することがあり過ぎる。」
頭が痛くなりそうだ。
試験のあるこんな時期に体育祭なんて予定を入れるなんて誰が言い出したんだ。
「······はあ」
教室に戻り、遅れて授業に参加した。
先生は何も言わない。俺がアルファで生徒会長であるから。
そして時間は経って、昼休みがすぎ、午後の授業を受けて放課後になる。
「偉成ぇ······」
「うっ······」
生徒会で体育祭について話し合いをするつもりだったのに、珍しく千紘が俺の教室までやってきて上目遣いで見てくる。
「お願い、勉強教えて······?」
「わ、わかった。でも先に生徒会があるから、それが終わってから······。」
「うん!」
千紘が可愛い。
笑顔で頷く姿が小動物みたいで抱きしめたい。
「先に帰るね!」
「あ、今日は匡もいるから······。」
「わかった!ちゃんと看病する!」
「帰ったら水分を取らせて、まだ熱があるようなら病院に連れていくから連絡をくれ。」
「うん!任せて!」
それからバタバタと廊下を走って帰って行く。
「あっ!洗濯物もお風呂洗いもしておくからね!」
「ありがとう」
それが突然振り返ってそういうものだから、慌ただしいなとも思う。
さあ、俺も早くやるべき事を終わらせて千紘と匡の晩御飯を作ってやらないと。
やることが多くてこんがらがりそうだけど、俺ならできると自己暗示をして生徒会室に向かった。
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