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第115話 千紘side

寮に戻る。部屋の中は静かで、匡がいるはずのベッドに行くとぐっすりと眠っていた。 水分補給をさせないと······と冷蔵庫からスポーツドリンクを持ってきて、匡の肩をトントンと叩く。 「匡、飲み物飲んで。」 「ん······千紘······?」 「うん。これ飲んで、それから熱計って。」 座らせてベッドヘッドにクッションをおき、そこにもたれさせる。スポーツドリンクと、それから体温計を渡す。 「頭痛い······」 「大丈夫?薬は飲んだ?」 「ああ······。兄貴は?」 「生徒会があるって。」 ピピピッと音がなり、体温計を脇から取った匡は数字を見て「うぇ······」と変な声を出す。 「何度?」 「9度まで上がった······。無理、俺今日で死ぬ。」 「死にません。ちょっと待っててね。」 寝室から出て言われていた通り、会長に連絡をした。匡の熱が39度まで上がってるって。すぐに病院に連れて行くって連絡が来て、30分後には会長が現れ、匡を連れて病院に向かった。 俺は1人、寮に残されて洗濯物を取り込み畳んで、お風呂を洗って沸かした。 1人で寂しいな。暇だから、ちょっともできない料理をしてみようかな。 「いやでも······失敗したらそれこそ迷惑がかかる······。」 悩んで悩んで、結局簡単なものなら作れるだろうとカレーを作ることにした。匡にはお粥とかおうどんとか、何か食べやすい物を会長が作ることにして······。 「玉ねぎ······。うわっ、目痛いぃ······。」 泣きながら玉ねぎに、それから人参とジャガイモを切って、お肉と一緒に炒める。 「······え、炒めるんだよね······?」 怖い怖い、ここに水を入れるとか、信じられない。 ヒィヒィ言いながら水を入れて、ルーを投入して、何とかカレーらしきものができた。でもなんか······サラサラしてる。スープみたいだ。 「あ、味はカレーだから······!」 まだセーフだ!自分にそう言い聞かせて、匡と偉成が帰ってくるのを待った。

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