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第116話
***
「ただいま」
「おかえりなさい。匡どうだった?」
「ああ、風邪だ。薬も貰ってきたし、それ飲んで寝たら治るだろう。」
「そう······?あ、匡、ベッドでゆっくり寝てね。」
帰ってきた2人。
匡をベッドに寝かせて、俺は会長に近づく。
「あのね、カレー作ったんだけど······スープみたいになっちゃって······。」
「カレーを作ったのか?すごいじゃないか。」
優しく笑って俺の頭を撫でる会長。でもその表情からは疲れが見える。
「スープみたいになったなら片栗粉を混ぜればとろみがつくぞ。」
「どうやるのかわかんない。偉成がやって······?」
「ああ。匡の晩御飯も作らないといけないしな。ところで、全部やってくれたのか。ありがとう。」
ありがとうって言われるのは嬉しい。ルンルン気分で会長に抱きついて、一緒にキッチンに移動した。
「おお、カレーだ。でも確かにサラサラしてるな。」
「そうなの。だからその、片栗粉でとろみつけて!」
「ああ。これはこうやって······。」
会長がちょっと手を加えると瞬く間に俺の知ってるカレーに変化した。
「凄い!カレーだ!」
「ん······?ああ、カレーだな。」
会長の匂いが優しい。
スンスンと嗅いでいると小さく笑った会長が「匡のご飯作るから」と俺をそっと自分から離す。
「ご飯作ったら、一緒に食べようね。あ、今日はどこで寝るの?」
「ああ。リビングのソファーはベッドになるからそこで一緒に寝よう。」
知らなかった。
あのソファー、ベッドにもなるんだ!
気になってリビングに走りソファーを弄っていると、確かに背もたれが倒れてベッドになった。
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