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第122話 千紘side
匡が部屋を出ていって、俺と偉成の二人きりになった。
「偉成、今日も忙しい?」
「いや、大丈夫だ。ちゃんと千紘との時間を作るから。」
「そんなの忙しいなら大丈夫。無理しないで。」
偉成は大丈夫じゃない時だって頑張ってしまう人だと思う。
「今は生徒会は大変な時期でしょ?無理して体壊すくらいなら、俺との時間は割いていいから。」
「······そんなの、俺が寂しい。」
ボソボソと呟くように言った会長にきゅんっとする。俺だって同じ気持ちだけど、体調を崩されてキスできなかったりしたらもっと寂しいと思う。
「5月は色々我慢して頑張って、6月に一緒にお出かけしたりしよう?」
「······わかった。」
少し拗ねてしまったみたいだ。
機嫌をなおしてもらおうと、会長に抱きついて頬っぺにキスをした。
「機嫌なおして。」
「お前は寂しくないんだな。」
「え!?寂しいよ!でもそれより偉成が無理して体調崩して、触れなくなる方が嫌だ。」
ちゃんと思いが伝わったようで、会長の顔が少し厳しかったものから柔らかくなる。
「千紘は可愛いな。そんなに俺に触りたいのか。」
「うん。偉成はそう思わない?」
「思うよ。······ああ、そろそろ準備をしないとな。」
学校に行く準備をして、偉成と一緒に部屋を出る。
今日こそ家に帰ったら勉強をするんだ。偉成の邪魔をしないようにもしないと。
「じゃあね。」
「ああ、また後でな。」
偉成が教室まで送ってくれて、そこで手を振って別れた。
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