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第125話

課題が全部終わるまで匡と優生君に見てもらい、やっと終わった頃には夕日が教室に鮮やかな色を差していた。 「そろそろ帰るか。腹も減ってきたし······。」 「うん。2人とも本当にありがとう!」 匡と一緒にオメガの寮に優生君を送って、匡と2人でアルファの方の寮に向かい歩く。 会長はもう帰ってきてるのかな。ちょっとワクワクしていたら、「あ、兄貴。」と匡が呟くように言って、匡の視線を追いかけた。 「偉成!」 「千紘、今帰ったのか。」 会長が走ってきて柔らかい笑顔で俺を抱きしめてくれる。 そういえば会長はもう部屋着を着ている。どうやらもう部屋に帰って来ていたみたいだ。 「お前の帰りが遅いから心配していたんだ。匡と一緒だったのか。」 「あと優生君も。勉強してたんだー!課題は終わったんだよ!」 「偉いな。今日は肉じゃがを作ったぞ。勉強したら腹が減っただろう?早く食べよう。匡もどうだ?」 「いや······。昨日も世話になったし遠慮しておく。千紘、また明日な。」 先に建物に入った匡。 あれ、そういえば偉成は何で外に出ていたんだろう。 「どこか行く予定だったの?」 「いや、お前を探そうとして······。でもよくよく考えたら電話をすればよかったな。」 「うん。······でもありがとう。ねえ、お腹すいたあ!肉じゃが食べたい!」 会長の手をとって部屋に向かう。俺達の部屋に入ると、途端いい匂いがして、お腹がグーと鳴った。 「わっ、恥ずかしい······!」 「それだけ勉強を頑張ったんだろう。服着替えておいで。用意しておくから。」 優しさに涙が出そうだ。 偉成の肩を掴み背伸びをしてキスをする。最近は好きが溢れてどうにかなりそうだ。 「どうした。甘えたいのか?」 「······好き」 「······お前は本当に可愛いな。」 ギュっと苦しいくらいに抱きしめられて、もう1度キスをしてそっと体を離した。 「服、着替えてくるね。」 「ああ、手も洗うんだぞ。」 「お母さんみたいだね。」 「いいから、ちゃんとやっておいで。」

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