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第134話
今週末には体育祭がある。
それまでには仲直りするつもりだけど、偉成が一向に近づいてこようとしないし、だから上手くタイミングが掴めずに悩んでいる。
「ご飯置いておくから、食べてくれ。」
「······うん」
その会話をして、偉成は部屋から出ていく。
そして俺が眠った頃に戻ってくる。
「どこ行ってるんだろう。」
寂しいし、不安だ。
もしかして怒ってる俺に飽き飽きしてしまったのかもしれない。
「······そんなのやだ」
今日は寝ずに偉成が帰ってくるのを待っていよう。それで話をするんだ。いい加減、俺も偉成を許さないといけない。
用意されたご飯を1人で食べて、お風呂に入りソファーに座ってテレビをつけた。そのまま数時間待ってるとだんだんと眠たくなってきた。
もう待たないで寝ようかな······と思っていると部屋のドアが開いた。
「偉成!」
「······お、起きてたのか。」
俺を見て驚いてる偉成。そりゃあそうか。寝てると思って帰ってきたんだから。
「······早く寝ないと明日起きれないぞ。」
「ねえ、話したいことあるんでしょ?」
「俺はそうだが、お前が話をするのが嫌だって言った。」
「······今は、話を聞きたい。」
「······今日はもう遅い。寝ろ。」
そう言われて、悔しくなる。
俺のことを考えてくれてるんだろうけど、悲しい。せっかく話せる機会がきたのに。
「······俺の事、嫌になった?」
「は?」
「俺が、自分勝手だから嫌?この前は話をしたくないって言ったのに、今はしたいって言うし、偉成のこと、何も考えてないから嫌?」
本当に自分勝手だ。でもそれくらい許してくれると思ってた。俺は悪くないからって、勝手怒らないでいてくれるって。
でも、その自信満々なところがダメだったのかも。寂しくなる。幸せで満たされていたのに、だんだんと乾いていく。
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