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第135話
「······別に、嫌にはなってない。でも正直俺の事をもっと分かってくれようとしてくれてもいいんじゃないかとは思う。」
「え······」
偉成はすごく真面目な表情をしている。
「俺はお前を理解しようと努力したつもりだ。それが足りなかったから今、こんな事になってるんだと思う。でもそれはお前も同じだ。」
「······俺が、偉成の事を理解してないって······?」
「ああ。お互いに運命の番だからって甘えているところがある。そう思わないか?匂いで感情がわかるからわざわざ話さなくてもいいって思うとかな。」
確かにそうだ。と頷く他ない。
偉成に甘えていた。······いや、甘えすぎていた。
「噛んだのは本当に悪かったと思ってる。ただ聞いて欲しい、あれはアルファの本能なんだ。お前が早く欲しくてたまらなくて、気持ちが焦った。」
「············」
「お前を怖がらせたかったわけじゃない。痛めつけて傷つけたかったわけじゃない。」
「······ほ、本能······?」
こくりと頷いた偉成。近付いてきて手を伸ばせば触れられる距離に立っている。
「ただの運命の番だけじゃない。お前のことが好きだから、余計に欲しがってる。でも番になれるのは早くても次の発情期の時だ。それまではお前から離れていないと、また同じことを繰り返すかもしれない。」
「······でも、俺もう今のまま······偉成とあんまり顔も合わせないで話も出来ないのは嫌だ。」
これも偉成の気持ちを理解しようとしてない事になるのかな。
「わかった。それなら、食事は一緒にとるし寝る時も一緒にする。けど······千紘には発情期が来るまで触らない。」
「えっ!?キスは!?」
「······それはする。」
安心した。ほっと息を吐いて偉成に小さく微笑みかける。
「嫌ってばっかり言ってごめんなさい。」
「俺も、痛い事してごめん。」
仲直りは出来た。
次の発情期まで予定ではあと2ヶ月くらい。
その日が不安でもあったけど、ほんの少し楽しみにもなった。
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