136 / 876

第136話

*** 「あ······」 「······高良先輩」 体育祭当日。 気合を入れて寮を出て、グラウンドにクラス別に集まった。 出欠をとって、そのあとは集合の時間まで自由にしていい。けれどその場から動くことなく匡と優生君と話していると、目の前を通ったのは高良先輩。 まだ気まずさが残っていて、先輩とはあと日以来話せていない。 「あー······今日は頑張ってね。」 「あんたもな」 それを察してくれたのか、匡が先輩に返事をして、先輩もまるで助かったとでも言うような表情に変わる。 先輩が居なくなって、匡が俺を見て「まだ仲直りしてねえのか」と言ってくるけど、先輩との事を匡に話したっけ······? 「先輩から聞いた。あの人がウジウジウジウジ俺に愚痴を言ってきたから。」 「愚痴······」 「そのせいで寝るのが遅くなって······ほら、俺が熱出した日。あの前の日にな。」 「そうなんだ」 俺の話もしてたのかなぁ。 気になるけど、聞くのは怖いから黙ってよう。 「あ、そろそろ集合時間だな。」 「皆集まってきたね。」 グラウンドに人が戻ってくる。 俺たちの周りもクラスの人でいっぱいになった。 「そろそろ始まるぞ。戻ってきてないやついるか?」 先生がやって来て生徒の人数を数える。人数はぴったし合って、他のクラスの点呼を終えるのを待った。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!