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第136話
***
「あ······」
「······高良先輩」
体育祭当日。
気合を入れて寮を出て、グラウンドにクラス別に集まった。
出欠をとって、そのあとは集合の時間まで自由にしていい。けれどその場から動くことなく匡と優生君と話していると、目の前を通ったのは高良先輩。
まだ気まずさが残っていて、先輩とはあと日以来話せていない。
「あー······今日は頑張ってね。」
「あんたもな」
それを察してくれたのか、匡が先輩に返事をして、先輩もまるで助かったとでも言うような表情に変わる。
先輩が居なくなって、匡が俺を見て「まだ仲直りしてねえのか」と言ってくるけど、先輩との事を匡に話したっけ······?
「先輩から聞いた。あの人がウジウジウジウジ俺に愚痴を言ってきたから。」
「愚痴······」
「そのせいで寝るのが遅くなって······ほら、俺が熱出した日。あの前の日にな。」
「そうなんだ」
俺の話もしてたのかなぁ。
気になるけど、聞くのは怖いから黙ってよう。
「あ、そろそろ集合時間だな。」
「皆集まってきたね。」
グラウンドに人が戻ってくる。
俺たちの周りもクラスの人でいっぱいになった。
「そろそろ始まるぞ。戻ってきてないやついるか?」
先生がやって来て生徒の人数を数える。人数はぴったし合って、他のクラスの点呼を終えるのを待った。
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