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第140話

「ああ、さっき派手に転んでた子だね。そこに下ろしてくれる?」 保健の先生が笑って言う。恥ずかしくなったけど終わったことはどうにも出来ないから黙って偉成にベンチに下ろされた。 「砂ついてるから水で洗うね。」 「千紘、痛かったら手掴んでいていいぞ。」 「······そこまで子供じゃないから。」 丁寧に処置してくれる保健の先生。 大きな絆創膏が貼られた膝は少し格好悪い。それを偉成に言うと苦笑を返された。 「歩くのに痛まないか?」 「うん、大丈夫。」 「本当か?我慢してないか?」 「してない。心配してくれてありがとう」 俺のクラスの所まで送ってくれる偉成は、ずっと怪我の心配をしてる。そんなに大した怪我でもないのに。 「今日お風呂に浸かるの嫌だなぁ。絶対沁みるでしょ?」 「たしかにそうだな······。でも浸からないと体の疲れが取れないと思う。」 「我慢するしかないかぁ。」 「足を上げて入るとか······。いや、それは余計に疲れそうだな。やっぱり我慢するしかない。千紘、俺は応援してる。」 大袈裟だなぁと思いながら頷いて苦笑を返した。やっと俺のクラスの場所について偉成と別れ、俺の場所に腰を下ろす。隣には匡と優生君。 「お姫様みたいだったよー!会長格好いいね!」 「あいつに負けたのが悔しすぎる······」 それぞれそう話しかけてきた。 匡は本当に悔しいみたいで、未だに唇を尖らせている。 優生君は目をキラキラさせていた。 「それより足は大丈夫?痛くない?」 「うん、大丈夫だよ。」 「よかった。すごく派手に転んでたから······あ、馬鹿にしたんじゃなくて!」 「わかってるよ」 そんなに派手な転び方をしたのか。 それはそれで1度見てみたかったな。大きな絆創膏が貼られた膝を見ながらそう思った。

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