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第142話

オメガを送りグラウンドに戻ってきても、特に問題は起こっていなかった。 昼休憩になって、急いで自作のお弁当を食べる。 「うわっ、会長からオメガの匂いがすごい······。」 ずっとグラウンドの方にいた高良が戻ってきて、俺の隣に座るなりそう言った。 「仕方ないだろう。着替える暇もないし······」 「千紘ちゃんに嫌われちゃえ。他のオメガと仲良くしてたんだろって言われちゃえ!」 「······千紘は聞き分けがいいからな、話せばわかってくれる。」 「どうかなぁ?意外と嫉妬深いかもよ?そのまま別れろバァーカ!」 腹が立って睨みつけるとニヤニヤ笑ってくる。 食べていたものを飲み込んで高良に「負け惜しみか」と言えば、顔を歪めて「うざ」と一言返された。 「お前はそうやって騒ぐ前に千紘には謝ったのか?」 「······いや、まだだけど······。」 気まずそうに視線を逸らした高良。 「俺もお前に話があったけど、忙しくてそれどころじゃなかった。」 「この体育祭っていう学校行事を別の季節に変えて欲しいね。そしたらもう少し時間の余裕ができる。」 「お前はそれでも千紘に謝るべきだった。」 「わかってるよ······。でも、謝りたくないんだ。会長とのことを認めるみたいで。」 俺にとっては早く認めてもらう方がいい。 いやでも、高良に認められたからと言って、何かがあるわけではない。 「お前が認めてもそうでなくても俺はどうでもいい。」 「またそんなこと言う。······だから余計に謝りたくないんだよ。」 ご飯を食べ終わり急いで片付けて午後の準備に取り掛かる。 「そんなに慌てなくても東條達もいるんだし。」 「東條も忙しいんだ。休ませてやりたい。」 「まずはあんたが休みなよ。」 そう言われたけど、生徒会長なんだからしっかりしないといけない。何事も率先して動かないと。

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