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第144話

「千紘······?もういいだろ。匂いも取れた。」 「だめ、まだするもん······。」 「膝は痛くないのか?」 「痛い。でも今はそれどころじゃない。」 ゴシゴシと体を洗われる。地味に痛いけれど、千紘が満足するまではされるがままになるしかない。 「よし!出来た!」 「ありがとう」 「あの······ゴシゴシしすぎたから、後で保湿クリーム塗ろうね。」 「ああ。千紘も洗え」 椅子に座らせ、モコモコの泡で全身を洗ってやる。途中怪我が痛んで「痛い痛い痛い!」と叫んでいたけど、それが落ちつくと気持ちよさそうに目を細めていた。 「上がったらちょっと休憩だな。今日は疲れた。」 「うん、お疲れ様。」 風呂から上がって、体を拭き、忘れた着替えを取りに行って寝室でそのまま服を着た。 そしてベッドに倒れ込む。 「あー······疲れた······」 「偉成、ベッドで寝たら起きれなくなるよ。」 「······もう起き上がれない」 うつ伏せで倒れていると、千紘が腰の下辺りに乗ってきて、背中から腰に掛けてマッサージしてくれる。 「気持ちいい?力加減どう?」 「······気持ちいい······。」 「よかった。寝てもいいけど、15分したら起こすよ。夜寝れなくなるから。」 「ん······」 半分聞こえていなかったけど、まあいい。聞き返せる程の元気が今はもう残っていない。自然と意識が遠ざかる。 そして気がつけば意識を手放していた。

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