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第147話

*** 「暑い、あつーい!」 「うるせえ、暑いって言うな。こっちまで暑くなる。」 体育祭が終わり、夏がやってきた。 6月に入った途端気温がグンっと上がった気がする。 「クーラーついてるとはいえさ、自分の気持ちいいって思える温度に設定できないから、なんか······もどかしいよね。」 「集中管理室で一斉管理だもんな。俺ももう少し涼しくしてくれてもいいと思う。······兄貴に抗議するか。」 「偉成の仕事を増やすのはやめてほしい。」 「うるせえな。生徒の思いを代表して教師陣に伝えるのが生徒会長の仕事だろ。」 絶対にそれだけじゃないし、偉成にはもっと重要な仕事がきっと沢山ある筈だ。その邪魔はしたくない。 「兄貴のこと好きすぎだろ。何がそんなにいいんだよ。」 「俺の事1番に考えてくれるところ。優しいし、清潔感はあるし、頭もいいし運動だってできるし······非の打ち所がないよね。」 「······お前の惚気聞いてたら頭悪くなりそう。」 「はぁ!?ねえ優生君!匡が酷いこと言うんだけど!」 背中側から優生君の首に腕を回して、匡を睨みつける。 「優生君は俺の味方だ!」 「お前らが2人で掛かってこようが俺は痛くも痒くもねえ」 「っ!ムカつく!バーカバーカ!」 「それしか言えねえのか。」 勝ち誇ったような匡の顔。 優生君が「落ち着いて」と言って、首に回る俺の腕を軽く叩く。 「でも会長は格好いいよね。何でもスマートにこなす感じ。お弁当も作ってくれるんでしょ?」 「そうなんだよ!いつも持たせてくれて······。本当に優しいんだよ。」 「千紘君を見てたらわかるよ。すごく愛されてるんだね。いいなぁ。」 自然と笑顔が零れる。 恋人のことを褒められるのは嬉しい。 「次の発情期は来月?」 「うん、ちゃんと周期通りに来たら······。」 「その時番になるのかな?そしたら僕も嬉しいな。」 その予定ではあるけど、いざその時になったらまた怖くなっちゃうんだろうなぁ。 いや、気持ちよすぎてわからなくなってるかも。 「楽しみだね。」 「そ、そうだね!」 優生君の言葉に小さく笑って頷いた。

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