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第149話
アイスを食べ終わり、テレビを見てると偉成がお風呂から上がった。
「千紘、来月の20日くらいから夏休みが始まるだろ。実家に帰るのか?」
「帰るよ。でも······次の発情期が来月なんだよね。」
「夏休み期間に来るかもしれないのか······。」
「そうなったらどうしよう。俺の望みはテストが終わって、夏休みが始まるまでに発情期が来ることなんだよね。」
そう言うと偉成は苦笑を零す。
「うまい具合に来たらいいけどな。」
「でももし夏休みになったらどうしたらいい?もう次はやめてその次にする?」
「それは無理だ。また3ヶ月我慢するなんて······。」
真顔でそう言われて思わず笑ってしまう。
確かに、俺も我慢できそうにない。
「そうなったらすぐに電話しろ。おかしいなって思った時点で。俺がお前の所に行く。」
「え······でもそんな、偉成も実家に戻るんじゃないの?」
「いや、7月いっぱいは生徒会の用事でまだ寮にいる。」
「そうなんだ。大変だね。」
休みでも仕事をしないといけないなんて。
「だから、呼ばれたらすぐ行くから、住所も教えておいてくれ。」
「うん、わかった!」
忘れちゃいそうだったから、先にメモに住所を書いて渡した。それを手帳に閉まった偉成は「寝るか」と言って俺の手を引く。
「歯磨きまだだよ。」
「忘れていた」
「おっちょこちょいだね。」
「いいから、早く磨いて寝るぞ。」
洗面所で歯を磨いて、明日の準備をして寝室に行く。
偉成の隣に寝転んで、ぎゅっと抱きついた。
「暑い」
「クーラーの温度下げたら?」
「千紘が離れてくれたりは······」
「しない」
そう言って偉成にキスをすると「やっぱり離れてくれ」って言われてムカッとする。
「やだよ。偉成にくっついてたら安心して寝れるの。」
「······でもな、俺は今我慢してて······。そうやってされると、どうしても······。」
そう言われてピンッと閃いた。
起き上がって、偉成を見下ろす。
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