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第160話

*** 明日から夏休みだ。とは言っても俺はしばらく生徒会役員として学校に残り、やることがある。 千紘は今日の夕方には実家に帰るらしい。1人で眠る今日からは少し寂しい気がする。 「そんなに寂しいの?でもすぐ会えるでしょ?」 「······すぐ会えても、また会えなくなる。俺も実家に帰るしな。」 「でも俺も偉成の実家に行くんだよ?そう考えたらすぐでしょ?」 それはそうだけれど、1日でも離れるのは寂しい。もう触ることも許されたんだ。 「そうだ!千紘、そのまま俺の家に泊まれ!」 「は?」 「そうすればいい!そうしたら一緒に居られる!」 「名案みたいに言わないで!俺にだって用事があるし······」 「用事!?なんだそれは!俺もついて行く!」 「来なくていい!」 軽い言い合いになって、千紘が「うるさーい!」と言いながら俺の胸を押した。 「番になったからって俺の行動を制限するのは許さないよ!」 「そんなつもりはない!ただ一緒にいたいだけで······。」 「一緒にいたいのはわかるけど······、じゃあトイレまで付いてくるのかって話だよ!」 「ついて行ってほしいのか?」 「ちっがうわ!馬鹿!!」 今度は胸を叩かれて、千紘は俺から離れてしまう。 「千紘······」 「そんな悲しそうな顔しないでくれる?困るから。」 「俺のせいで困っている千紘は可愛いな。」 「······もう馬鹿。偉成は本当馬鹿。」 人からこれ程馬鹿馬鹿と言われることは滅多にない。俺をこんなにも馬鹿にするのは千紘だけだ。······いや、匡も俺を馬鹿にしてくる時があるな。 そう思いながら、うんうんと1人で頷いた。

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