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第169話
お風呂から上がってルームサービスを取った。
用意されたドリアを食べて、沈み切った心を何とか元気にしようと思ったけど、ちょっと厳しかったみたい。
「偉成」
「ん?食べさせて欲しいのか。甘えただな。」
「違うし······。」
違うって言ったのに、自分のご飯が冷めるのも気にしないで、俺にわざわざアーンってして食べさせてくれる。
「ちゃんと食べて偉いな。今日はもう遅くて無理だから、明日は一緒にデートしよう。ちゃんと言っていた通り服を買って、いっぱい楽しむぞ。」
「うん」
「千紘は何も気にしなくていいからな。楽しいことだけしてよう。そうだ、映画でも観るか?」
俺を楽しませようとしてくれてる。その気持ちが嬉しい。
「ううん。偉成の話が聞きたい。」
「俺の話?」
「うん。偉成のこともっと知りたいの。」
食べ終わって偉成の膝に座り、胸にもたれかかる。
「俺はずっとこんな感じで生きてきたから、正直匡とのこと以外で失敗したことがないんだ。······いや、小さい頃は失敗したな。」
「そうなの?何で?」
「理由はわからないけど怒られたぞ。だからもう失敗しないようにって努力した。怒られるのは嫌いだからなぁ。」
「誰も好きじゃないよ。」
「ははっ、それはそうだ。」
偉成がクスクスと笑う。ぎゅっと抱きしめられて、顔だけ振り返り偉成にキスをする。笑うのをやめて、舌を絡ませ気持ちよさにジンっとペニスに熱が集まる。
「ぁ······」
「キスだけで反応してしまったか?」
「······しちゃった。でも我慢する。」
「そうか。ならあまりキスをしていてはダメだな。」
額にちゅっと唇が触れて、ふふっと笑い合う。
心が穏やかになる。ずっとこの気持ちでいたい。
「俺の親にも千紘を会わせないとな。」
「······うん。ちょっと怖いね。」
「俺が守る。絶対に大丈夫だから。」
その言葉が心強くて、1度深くゆっくりと頷いた。
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