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第176話
「理解は、して欲しい······です。」
「ならきっと、偉成が力になる。大丈夫だ。何も怖がることは無いよ。私達も2人のサポートをしよう。なんて言ったってもう私達は家族だからな!」
なんて暖かい家族なんだろう。
ついに目から涙が零れて、偉成に抱きしめられた。
「千紘、泣かなくていいんだぞ。」
「っ、う、嬉しくて······」
「可愛いわ······。千紘さん、私の事はもうお義母さんって呼んでいいからね。2人の結婚式はどうしましょう!ハワイでする?それとも······」
「母さんは気が早いな。まだまだ2人は高校生だぞ。」
「それでもよー!計画をするのは楽しいんだからいいでしょう。」
涙が止まると、お義母さんに手を取られた。
「その様子だとあまりご実家には帰りたくないのよね?よかったら夏休みが終わるまでここで過ごしなさい。」
「え······でも、そんなのご迷惑じゃ······」
「そんなの気にしないの!ね、貴方!偉成も!」
「ああ。もちろんだよ。」
「千紘がここで暮らすのか!本当に結婚したみたいだ。俺は嬉しいぞ!」
偉成がそう言って俺を抱きしめる。
待って、待って待って。色々とことが早く進みすぎてよくわからない。
「千紘ー!」
「落ち着いて!」
初めての偉成のご両親との顔合わせは上手く······うん、上手くいった。
「偉成のベッドは広いから、2人でゆっくり眠れるわよ。あ、眠らないのかしら!やだ貴方ぁー!」
「私達も3人目を目指すか!」
「無理よ馬鹿。私は早く孫に会いたいの!」
「母さん達。そんな話はやめてくれ。千紘が恥ずかしがる。それに俺達はまだ高校生だ。孫にはまだしばらくは会えないぞ。」
偉成に抱きしめられてるから、そのまま胸を借りて赤くなっているであろう顔を隠す。
「千紘、俺の部屋を案内するよ。おいで」
「うん」
それから少しして、偉成の部屋に移動した。
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