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第177話
「わ······広い部屋だね。」
「そうか?」
「······なんか、海外のお屋敷みたい。名家の家って感じ。」
「千紘の例えば面白いな。さっきは緊張してただろ。もう話も終わったし、ゆっくりしておけ。」
そう言われて肩の力が抜け、ソファーに倒れ込んだ。
「着替えも全てこちらで用意しておこう。」
「偉成······」
「ん?どうした?」
「抱きしめて、好きって言って。」
伝えられると1番嬉しい言葉。
それが偉成からだとなると、余計に。
「可愛い······。好きだ。愛してるぞ、千紘。」
「······俺も。」
ソファーに倒れたまま、偉成に抱きしめられ、キスをする。
「あ······っ」
「ちょっとだけ」
「ん······んっ、ぁ······」
服の中に偉成の冷たい手が入ってくる。ひんやりしていて気持ちいい。
「汗、かいちゃってる······っ」
「そうだな。いつもよりしっとりしてる。好きだぞ。」
「っ、馬鹿······汚いから······」
「汚くないぞ。千紘はどこもかしこも綺麗だからな。このまま抱きたい。」
「それはダメ!」
手を掴んで服の中から出させる。
「恥ずかしいことばかり言うから、もう終わり。偉成は俺に抱きしめられる事だけしておいて。」
「そんなの酷いじゃないか」
「何で?俺に抱きしめられるの嫌なの?」
「違う。生殺しだって言ってる。」
呆れて変な声が出た。
生殺しって何だ。
それなら俺はいつだってそうだと思うけど。というか、運命の番なんだから偉成の匂いに敏感になっていて、それで興奮しちゃう時だってある。
「俺もそうだけど」
「何でだ。それなら抱かせろ。」
「嫌だ。お義母さんもいるんだよ?それにまだ昼。」
「なら夜だな。夜ならいいってことだな?」
すごい迫力だ。
渋々頷くと偉成は嬉しそうに笑った。そして匂いもふんわりと香ってきた。
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