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第179話 R18
ガクガクと揺すられて、声も出なかった。もう何時間だったんだ。ずっとこのままだ。母さん達はいるはずなのに、お兄ちゃんを止めてくれないのは、お兄ちゃんがうちの家系で唯一のアルファだからだろう。怒らないんじゃなくて怒れないんだ。それに比べて僕はオメガ。誰も守ってくれやしない。
「っ、······はぁ······っ、ぁ······」
「はぁ······っ、中で出すか?子供ができるかもな」
「っ!や、やだっ、お願い······っ、それだけは、やめてください······っ!」
怖い。嫌だ。そんなの絶対に嫌だ。
力を振り絞ってお兄ちゃんの体を思い切り蹴った。ずるっとペニスが抜けて、急いで服を掴み部屋から出ようとしたのに、それより先に頭を掴まれ壁に強く押し付けられた。
「っ!」
体から力が抜けて床にずるっと倒れる。そんな僕を上から見下ろしたお兄ちゃんは、今まで見たことがないくらい怒った顔をしてる。
「何してんだテメェ」
「······っ、ごめ、なさい······っ」
「許さねえよ。」
ガッと頬を殴られる。骨と骨がぶつかり合う音が体に直接響く。
「ごめ、なさいぃっ!許して、許してぇ······っ!」
自分を守ろうと腕で頭を庇っていたのに、何度も殴られてそれすらも難しくなった。
体を動かすのも億劫になって、四肢を投げ出すとまた後孔にペニスが入ってきて、涙だけが零れていく。
「許さねえ、中で出してやる。」
「っ、ごめ······なさい······っ」
泣いて謝ることしか出来なかった。
突然、バタバタとうるさい足音に母さん達の怒鳴るような声が聞こえてきた。
「ああ?なんだうるせえな······。」
そして部屋のドアが開いて、お兄ちゃんが蹴り飛ばされる。
何が起こったのか一瞬では理解できなくて、顔を上げて目の前に立つ人を見る。
それと同時に助かった······と心から思えた。
「っ······き、匡、君······っ」
「優生、動けるか?」
「······た、すけ······」
「悪い。触るぞ。」
ベッドのシーツを剥ぎ取り、俺の体に巻き付けた匡君。そのまま抱っこされた。
「貴方!うちの元に何をするの!この子はアルファなのよ!」
「ああそうか。俺も同じアルファだ。」
母さんの手が匡君の腕を掴む。匡君は怒っているみたいだ。アルファの圧に耐えれないようで、母さんの手から力が抜けていく。
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