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第194話
とりあえず話はお風呂に入って寝る準備が出来てからすることになった。
嫌になったら眠れるし、1日寝たら落ち着くだろうから。
「俺から話す?優生からにする?」
「ぼ、僕からっ」
ソファーに座ってぎゅっと手を握る。
こんな形で告白するなんて思ってなかった。
「あの······っ、僕が千紘君に意地悪した時、あったでしょ?」
「ああ、あったな。」
「その理由が······千紘君が僕に告白するように促してきて、それで······」
「告白?」
恥ずかしいのを堪えて顔を上げ、じっと匡君を見る。
「匡君が好きだったの。······ううん、今も好き。いつからかは分からないけど、だんだん好きになっていって······」
「······うん。知ってた」
胸がうるさいくらいバクバクと音を立てる。
知ってたんだ。いや、知っててもおかしくない。僕の態度からそんなことはきっと丸わかりだ。
「知ってた上で、優生から何も言われない限りは俺も何も言わないでおこうって思ってた。」
「······匡君は優しいね。僕なら言っちゃうかも。」
「そうか?なんやかんや優生は良い奴だよ。間違えたとしても謝れるし。」
「ふふっ、ありがとう。」
うるさかった心臓がだんだんと落ち着いていく。
「知ってたから、余計にそれに付け込むようなことはしたくなかった。」
「え······?」
付け込むって、どういう意味だっけって、頭の中で混乱が始まった。
意味も理解出来ずに頷いて、匡君の言葉を待つ。
「俺も好きだよ。正直、優生が優生の兄貴にヤられてるの見て、腸が煮えくり返りそうだった。殺してやりてえとすら思った。でも······俺がそうやって勝手に1人で怒ったって意味が無いだろ。お前からも俺からも気持ちを伝えられてないのに。」
「そ、んなの······」
「それにな、こんなこと話すべきじゃねえんだろうけど······、俺はあんなに傷ついてるお前の体見て興奮したし、犯してえとすら思ったよ。」
「嘘だぁ······」
視界が滲む。
それは嬉しくてなのかはわからないけど、まだ現実を受け止めきれてはいない。
「嘘だもん。だってぇ······」
「嘘じゃねえよ。もう、泣くなって。」
匡君の手が伸びてきて、頬に零れた涙を拭ってくれる。
「優生もだと思うけど、俺もこの話するのにすげえ覚悟したんだぞ。泣くんじゃなくて笑えよ。」
「っ、うぅ······」
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