「千紘と兄貴みたいに上手くいくかはわかんねえけど、幸せにしたいとは思ってる。······俺と付き合ってくれないか？」 「っ、そこは格好よく決めて欲しいよ······」 「悪いな。俺は格好良さとかよくわからない。」 匡君が小さく笑う。たまらずその大きな体に抱きついた。もうこうしても許されるだろう。 「匡君、僕と付き合って······」 「ああ。大切にするよ。」 匡君の腕が背中に回る。 暖かくて、胸が苦しくなるくらいに幸せを感じてる。 「っ、」 顔を上げたら匡君の顔がすぐ側にあって、ビシッと目が合い動けなくなる。 顎を軽く掴まれて、「好きだ」と言った匡君に胸のドキドキがまた始まって、ゆっくりと顔が近づいてくる。 「っ、っ······！」 「何？緊張してるのか？」 き、キスするんだ。 ぎゅっと目を閉じる。それでも一向にキスされる様子はなくて、目をゆっくり開けると、匡君が俺を見て笑ってた。 「っ、ひ、ひどい······！」 「怒んなよ」 「んっ！」 そして突然キスされた。びっくりして腰を引きそうになって、けれど背中に回された腕にがっしりと止められてそれが出来なかった。 「はぁ······っ」 「キスは初めてか？」 「······う、ん」 恥ずかしい。きっと顔は真っ赤だろう。 「トマトみたいだな。」 「トマト······」 「ああ。トマトちゃんだ。真っ赤だ。」 例え方が可愛い。思わずクスクスと笑って、匡君の胸に顔を押し付けた。 少し落ち着いて、匡君の顔を見上げる。 「匡君の話は？」 「俺の話も終わった。お前に伝えたことが全部。」 「······ありがとう。話してくれて。」 「俺もだ。ありがとう。」 話が終わり、僕は新たな問題に直面した。 こんないい感じに話が出来るなんて思ってなかったから、まずい。 ここに住まわせてもらった日から広いベッドで匡君と2人で眠っていた。今日もそれには変わりない。けど、気持ちが違う。そのおかげで緊張して眠気が来ない。 「優生、寝よう。」 「ぅ、うんっ」 いやいや無理。うん、じゃない。