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第205話 千紘side

「な、なんで······!?」 「何が、何でだ?ああそれより、ただいま。」 「おかえり······違う!何で、何で父さんが!?」 いつもより早く帰ってきた偉成がジャケットを脱ぎながら「ご両親が来てるぞ」と何でもない様子で伝えてきた。 「何しに来たの!」 「千紘に話に来たんだ。ついでに俺の両親にもな。結婚はする予定だが、お互いの親の同意も必要だろう。」 「······偉成、気付いてるかはわからないけど、勝手すぎ。俺の気持ちはどうなるの?」 「勿論、俺が癒してやる。」 「巫山戯てる?それならもう2度と話さない。」 「巫山戯てないぞ!本気だ!」 偉成がすごい剣幕で迫ってきた。驚いて退きそうになったのを肩を掴まれて抑えられる。 「2度と話さないなんて、そんな寂しいことを言うな!」 「······ごめんなさい」 「わかってくれたならいいんだ。ほら、用意をして。ご両親が待ってるから急ごう。」 服を着替えさせられて、急いで部屋を移動した。 「千紘!」 「か、母さん······」 部屋に入ると途端に母さんに抱きしめられた。 そして母さんの向こうには父さんの姿。 「千紘······」 「と、うさん······」 心臓がドキドキする。俺を抱きしめていた母さんの服をぎゅっと掴んだ。 「千紘、行っておいで。」 偉成に背中をトン、と押されて父さんの前に出る。 「父さん、あの······」 「すまかったな。」 「え······」 「お前の気持ちも考えず発言してすまなかった。」 と、父さんが謝ってる······! その事実に驚いて固まることしか出来ない。 「千紘と偉成君のことは認める。自分の思うようにすればいい。」 前も同じようなことを言われたけど、前回と今回じゃ全く意味が違う。 自然と涙が溢れてくる。 父さんって、ちゃんと謝ってくれる人で、息子の俺を本当は理解してくれる人なんだと分かったから。

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