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第207話
美味しそうなご飯が沢山並んでる。
「······こんなご馳走······。」
「ほら、たくさん食べてね!千紘君も!」
お義父さんに促されてたくさんご飯を食べる。その間母さんと父さんはお義母さんと話をしている。
「千紘、これも美味いぞ。ほら、食べろ。」
「あ、う、うん!」
「これは俺の大好物なんだ。よかったらこれ、今度千紘が作ってくれないか?」
「えっ!勿論!これ作る!」
偉成の好きなご飯は作れるようになりたい。
「あら、じゃあ同い年なのね!仲良くしましょう?ほら、息子達も番になったんだし!」
「そ、そうですね!どうぞよろしくお願いします。」
「そんな固くならないで!お名前はなんて言うの?私は咲希。」
「あ······千夏です······。」
お義母さんに押されている母さん。
父さんは黙々と料理を食べて「美味しい······」と呟いている。
そんな変な空間が広がっていた。
***
母さん達が帰ることになって、お邸の門まで見送りをする。
「偉成君、千紘のことをよろしくね。」
「······仲良くするんだぞ。」
母さんと父さんからそれぞれ言葉をもらって、俺はそれに照れてしまったのに、偉成は笑顔で頷いていた。
そして帰って行った母さん達。俺は体に入っていた力が一気に抜けて、偉成にもたれ掛かった。
「千紘?」
「······ごめん、疲れちゃった。」
「急だったからな。今日は早く休もう。」
「抱っこして欲しいなぁ」
「いいぞ。ほら、腕を回せ。」
偉成に抱っこされて、邸の中に入り偉成の部屋に移動する。ソファーに降ろされて、そのまま何度もキスをした。
偉成が頑張ってくれなかったら、俺はずっと父さんとの確執があって心が晴れなかっただろうから。
「明日は一緒にいよう。俺のすることは今はもうないから。」
「うん!」
ゆっくり過ごすんだ。2人きりで。
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