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第215話
「ただいま」
「あっ!おかえりなさい!」
父さんが帰ってきた。
母さんが父さんから鞄とジャケットを受け取って片付ける。
「お、おかえりなさい······」
「······千紘も、おかえり。」
まだぎこちないけど、きっとすぐにそれも無くなる。
母さんがご飯を準備してくれて、テーブルを囲み家族で「いただきます」と言ってから箸を持つ。
「千紘は······明日、何時に学校なんだ。」
「明日?8時半には教室にいないといけないかな。」
父さんが急にそんなことを聞いてくるものだから、驚いてしまう。
「······学校まで車で送ってやる。」
「え······」
「よかったわね、千紘!ゆっくり寝れるんじゃない?」
「いいの······?」
本当にそんなことしてくれるんだろうか。不安になってそう聞くと父さんは1度頷いた。どうやらいいってことらしい。
「そんなに長くは寝れないと思うが、車の中で寝ておけばいい。」
「俺別に起きたままで大丈夫······」
「どっちでもいい」
まだトゲトゲした言い方だけど、その中に優しさがある。
「ありがとう」
「······いや」
違和感はあるけど、いつもより居心地の悪くない食卓。
「母さんお弁当作るね!」
「始業式だからお弁当要らないよ?」
「寮に戻って食べなさいよ!捨てられるお弁当箱にしておくからね!」
「わかった」
学校が始まるのは少し憂鬱だけど、明日だけは少し楽しみになった。
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