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第216話 偉成side
学校がついに始まった。
これからも同じ寮の部屋で千紘と暮らすんだから、2人きりの時間は減ったとしても我慢はできる。
でも······お触り禁止って何だ。
昨日それだけ言って家に帰ってしまった千紘に悲しく思う。
「久しぶりだな、偉成。」
「ああ、誉。久しぶり。今日からまた始まるな。」
「そうだな。それより提案がある。」
「提案?」
教室に行くまでの廊下で誉からの提案を聞く。
「生徒会の仕事が忙しすぎる。業務を手伝う役員を1人か2人増やして欲しい。」
「生徒会補佐ってところか?まあ······確かに、それもいいな。今はギリギリの人数でそれぞれの仕事に加えて他のこともさせているからな······。」
「ああ。東條と高良にも提案してくる。最終的にはお前が全部決めたらいいけど、先に説明だけしておく。」
そう話をして、俺の教室の前で別れる。
中に入って自分の席に座り、始業式が始まるまで時間を潰す。
始業式では生徒会長の挨拶なんかは無いからゆっくり出来る。
千紘はちゃんと登校しているのだろうか。
あれ以来連絡をしていないが、家でも何も無かったか少し心配だ。
「始業式始まるから、講堂に集合だ。」
担任がやってきてそう言った。
もしかしたらチラリとでも千紘を見れるかもしれない。
「なあなあ赤目、夏休みどこか行ったか?」
移動中、同じクラスの関野 が聞いてきた。
「ああ。恋人の実家に」
「あ、あの1年か。お前ら有名だぞ。体育祭であんな行動したから。本当に王子と姫だって」
「よかった。これで千紘を奪おうとする奴はいなくなるな。」
「それは······そうだろうけどな。」
関目は同じアルファだ。けれど気取ったりせずにベータとも仲良くしているのを見ると、俺も柔らかい性格にならないとなとも思わされる。
講堂に着いて辺りを見回す。
あ、千紘がいた。
「姫いるじゃん。」
「可愛いな。匡と話をしてる。」
「匡って弟か?」
「ああ。あ、笑ってる······」
「気持ち悪いぞ」
そう言われて関野を睨みつける。
「気持ち悪いって言うな。千紘が可愛いから仕方が無い。」
「あー、はいはい。よかったね。姫もお前にそれだけ愛されて嬉しいだろうね。」
列に並んで講堂の床に座った。
始業式が終わったら帰れる。そうすれば千紘に会える。
始業式が始まって、先生の話をしっかりと聞いて、30分くらい経ってやっと話が終わった。
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