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第219話

誉の次は東條の所へ行った。 東條は俺が突然やってきたことに驚いているようで、「な、何か?」と酷く他人行儀な反応をされて少し悲しい。 「千紘を生徒会に入れたいと思ってる。」 「あ、高梨から生徒会補佐の話は聞いた······。俺は別にいいと思う。」 「よかった。あとは高良に話さないとな······」 高良は部屋にいるのだろうか。 落ち着いて話をするつもりだが、もし言い合いにでもなったら面倒だ。 「高良ならさっき食堂の方に行った。」 「今更か?もう昼は過ぎたぞ。」 「忘れ物したって。」 おっちょこちょいな奴だ。 東條に礼を言って食堂の方に向かう。するとすぐそこでばったりと会って「高良」と名前を呼ぶと嫌そうな表情が返ってきた。 「何?」 「誉から生徒会補佐の話は聞いたか?」 「ああ、聞いたけど?あ······、もしかして千紘ちゃんを入れようとしてる?それならいいよ!俺は喜んで受け入れるよ!千紘ちゃんといれる時間が長くなるからね!」 「残念だが千紘はもう俺と契約を結んだぞ。」 「そんなの知らないよ。······とは言っても、俺もそろそろ真面目に番を作らないとなぁ。」 悩みだした高良。突然肩を組まれてそのまま部屋に連れていかれる。 「どうしたらいいと思う?俺の家もなかなか難しいところだから面倒なんだよね。早くオメガを捕まえて、アルファの子供を産ませないと。」 「拘りすぎなだけだろ。子供はアルファじゃなくても可愛いし、好きになった相手ならオメガじゃなくてもいい。」 「綺麗事だよ。会長はオメガの千紘ちゃんを捕まえたからそんなことが言えるんだよ。」 オメガオメガって、そんなに気になるものか。 それに子供を産ませないとって、まるでその人間を蔑ろにしているような発言に違和感を持つ。

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